実の親を在宅介護するには、夫の理解が必ず必要です。
私の母は実の母を在宅介護しておりました。およそ4年間でした。私に対する祖母にあたります。祖母は足が痛いので、病院に行かずに往診を頼んでいました。食事もいちいちベルを鳴らして母を呼ぶのです。あの頃の母は随分と老けていましたが、介護疲れで疲れている母を私は綺麗だと思えてなりませんでした。毎日献身的に仕えていました。本来は父に気兼ねをする立場だったと思いますが、父の理解があったのでできた事でしょうね。祖母は大人しい人でしたが、母に毎日面倒を見てもらっているにも関わらず、外へ出た娘がたまに会いに来ると大喜びします。それは正直な気持ちだと思いますが、あまりにも露骨に喜ばれると、母としては複雑な気分になったことでしょう。
しかし、外へ出た娘といっても母の妹達なのです。ただ、母が不満を言わせてもらうなら、この妹達の無礼な態度です。とうとう我慢が出来なくなった母は「あなた達、私に礼を言うより、うちの人にお礼を言うべきと違うの?」と言ったのです。そうですね。私の父の理解があるから、祖母の面倒を見る事ができるのですから。今なら病院が姥捨て山になっている時代ですね。父にも両親がいましたが、離れて暮らしていたし、母の親と同居をしてくれている父のお陰だと私も思っていました。
まぁ、そんな問題はともかく、今回、母と祖母の会話を書いて見ますね。祖母は老衰な訳で、内臓が弱ってきておりました。あまりにもしんどい日があったのでしょう。「今日はどうもしんどい・・」と言う祖母。「もう、早く死ねる薬を買って来て欲しい。」と母に頼んだのですよ。余程苦しくなったのでしょうね。その祖母の依頼を、母は「待っていてね。今、食事の支度をしているからね」と言うと、祖母は「そんなもの後でいいから・」と言うほど、苦しかったのでしょう。そんな訳で母は薬屋さんへ行きました。そして、ある薬を買って来ました。「さぁ、これを飲んだら楽に死ねるからね。」と言って祖母の枕元に置いたのです。そして、飲むのを待っていました。すると、祖母はなかなか飲みませんので、「どうしたの?早く飲まないと」と母は言いました。祖母は「そんなに飲め飲めと言わないで!」と言って怒り出しました。当たり前です(笑)死にたいはずありませんから。母が買ってきた薬は、ただのビタミンだったのですよ。
このようなやり取りは、もし、姑との関係であれば決してしないでしょうね。母は種明かしをして、ビタミンだから飲んでね。と言ったのですが、祖母は飲まないまま亡くなりました。この会話は、今でも語り草になっていますが、「死にたい」と希望した実の親に応えてあげようとした母の気持ちを考えました。母の気持ちは、親が苦しんでいるのは知っていましたので、気休めに付いた嘘だったと私は思います。この嘘は必要悪であったと私は思いたいのですが・・。意地が悪い人だと思う人は思うでしょうね。もちろん、往診も頼んでいた毎日ですよ。
祖母が亡くなって、母は涙を一粒流しました。外へ出た妹達はおお泣きしました。世話を一生懸命して来た母は、自分に納得ができたので、涙の質は他の姉妹たちとは異なっていたに違いありません。誰も、祖母を引き受けると言わなかったのは、それぞれについている夫の理解が無かったからですよ。母と父は偉かったと思います。
